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公開日:2021年07月11日 / 最終更新日:2021年07月12日
著者:根津大介(税理士)
起業を思い立ってから開業するまでの流れや、独立開業支援で具体的にどんなことを行っているのかをお伝えするため、花屋を開業したクライアントのサポート事例を詳しく紹介しています。
【これまでの記事】
●ファーストコンタクト〜事業計画書の作成
→花屋開業のサポート事例 ~まず最初に~
●事業コンセプトの立案〜出店場所を決めるまで
→店舗開業までのストーリー ~事業のコンセプト~
●資金計画〜開店まで
→店舗開業までのストーリー ~資金繰り~
この記事では開店後のストーリーをご紹介します。
すべての準備が整い、さあ開店というところまで来ました。
認知度を上げるため、身近な方々を招いてレセプションパーティーを開き、花屋の開店を広めようとしておりました。
こういう行動がとても大事ですよね。
お客様となるのは身近な友人知人、そして構えた店舗の地域の人たちだと思います。その方たちにいかにアピールするかで今後の売上が変わってくると思います。
私もレセプションパーティーに参加させて頂きましたが、とてもお洒落な店舗に出来上がっており、それに合ったお花のレイアウトもされていて、とても良い雰囲気を作り出しておりました。
参加された方々も同じように感じているようでした。それに呼応されたように近所の方も何人か見に来られていたようです。始まりは上々かと思います。
店舗が立ち並ぶ場所ではないので、通行人が中を覗き込むようではあるが何をやっている店なのかご近所の方に認知されるまでには時間がかかるようでした。
どんな大手の店舗でも同じことですが、ここにこの店があると宣伝し、認知してもらうには時間がかかります。
私自身コンビニ経営の出店を何度かみてきましたが、そんな大手コンビニチェーンでさえ近所の方への認知度が上がるのに1年以上かかります。
ある店舗では3年経っても「こんなところにコンビニができたんだね」と言われた店舗オーナーの話を聞いたことがあります。
それぐらい地道な作業となります。
開店して息をつく暇はありません。常にチャレンジです。通行人の方が店を見てくれるが何の店か理解されていないようだと相談を受けました。
とても店舗は綺麗でおしゃれですが、ぱっと見た目では分かりづらいと思われたので、通行人がひと目でわかるように工夫してみてはいかがですか?と提案してみました。
花男くんはそうですねと聞き入れ、早速、お花屋さんであるとわかりやすくするために看板を設置したり、ロスが多くなりますが、華やかな花を全面に展示したりと思考錯誤して皆さんに理解してもらうように工夫しておりました。
開店してからも花男くんは今日新しいお客様が飛び込みできた、レッスンをやって欲しいと依頼を受けた、事務所の花を定期的に購入したいと依頼を受けたなど何か嬉しい出来事があると電話で報告してきました。
さらにこんな事を始めようと思いますがどう思いますかと相談を受けたりもしていました。
デジャブでしょうか? 前にもこんな状況があったような気がします。
何かあるたびに連絡しては話尽くすと満足そうに電話を切っておりました。とても楽しいのでしょうね。それが一番だと思います。
自分で事業を行っているのですから楽しんでやっていかなければと思います。
お花屋さんの認知度も高まり、飛び込みで入ってくるお客様もちょこちょこ増えてきて、レッスン生も集まり、花男くんのファンも増えて店舗や事務所の定期便の扱いも出てきて、売上は順調に伸びてきておりました。
そんな順調な状況に安心したのか、花男くんは売上を伸ばすとか資金を稼ぐことへの情熱が希薄になっておりました。
1年の締めくくりである確定申告は言わば通信簿のようなものです。その年の成果が全て現れます。申告の時期に花男くんに今年はどれだけ儲けたの?と聞いてみました。
そうすると最終利益は数万円ですと堂々と答えておりました。私は「はぁ!」と即座に言葉にしておりました。そこからは花男くんに説教です。何を呑気なことを言っているのか、今は共働きだから良いけど子供ができたらどうするなどなど暴言にも似た言葉を吐いておりました。
その言葉に花男くんは自分の状況に気付いたのか、とても反省し、頑張ることを誓っておりました。
その後、花男くんは誓いの通りに頑張り、お客さんや花男くんのファンを増やし、営業にも力を入れ、売上を上げる事ができました。
そんなことを花男くんから報告を受けるたびに私は「花男くん、あなたはやればできる子なんだからちゃんとやれば必ず結果が出るんだよ」と言い放ちます。我が子に教育しているような感覚です。
開店したから、繁盛したから、お客がついたからと店舗の改善・改革作業をやらなくなる起業家が多いですが、常に改善・改革作業は必要です。
常にマイナーチェンジです。日々進化です。それがなくなったらその時から衰退が始まると思って下さい。
皆さんも聞いたことがあると思いますが、起業家が10年後に残っている確率は数%しかないと言われてます。
その主な原因がここにあると私は考えております。大手でさえ常に新しいことを考えて日々進化しているのに、個人事業者がそれを怠っていれば大手や新規開業者に負けるに決まっていますよね。
そうならないために常にチャレンジすることは必要不可欠だと思います。
4回にわたり花男くんを例題にしながら開業の流れを説明してきました。開業における心構えや必要なことが少しでも分かっていただけたら幸いです。
起業は大変だと思います。サラリーマンのほうが気が楽でいいよと言われる方もいらっしゃると思います。
それに対して意見をするつもりはありません。
私は40歳を過ぎて起業して、最初は歯車が合わず、仕事に追われ、自宅にも帰れず、睡眠時間も休みも取れない日々が続いておりましたが、それでも起業しなければ良かったと後悔したことはありません。
自分の思い通りに仕事ができるし、やった分だけの対価は得られるし、時間の使い方も自分で決めれるので、とても有意義だと感じておりますし、仕事が好きなんだと感じられています。
そんな大変な起業にとってとても大事だと思うものは相談できる人がいることだと思います。専門家でなくとも相談できる人を是非作ってみて下さい。とても心強いと思います。
花男くんはコロナ禍でも持ち前のセンスで顧客を増やしております。今でもたまに喝を入れて激励しながら「やればできる子」というやり取りを続けております。そして花男くんはパパとなり、やる気満々で張り切っております。
これからもワクワクが止まらない花男くんです。
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