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公開日:2021年06月14日 / 最終更新日:2021年06月14日
著者:根津大介(税理士)
法人化は規模だけで決めないほうがいいと私は思います。
クライアント等からある程度の規模になると「法人にしたほうが宜しいですか?」と質問をされることが良くあります。
その時は必ず「法人にして何かする予定はあるのですか」と聞き返します。
法人は目的もなしに作ることは良くないと考えているからです。
なぜ目的もなしに法人化しないほうがいいかというと、法人設立には設立費用がかかります。
もちろんここは考えている方もいらっしゃるとは思いますが、法人を辞めるときも設立と同じぐらいの費用がかかります。
さらに法人を運営していくうえでも維持費は個人事業よりかかります。
それは法人としての社会的責任が重いことが原因です。
利益が出てくると「法人化したほうが節税になるのではないか」という相談を多く頂きます。
事業規模を拡大しようとする時には様々な節税方法はありますが、確かに税金だけをみれば所得税は累進課税であるため一定の所得を超えると税率は法人税率を超えますので、法人化が節税対策となる一面もあります。
ただ、個人事業では負担していなかった社会保険料のことを考えると資金は個人事業より流出が多くなります。
法人化したが社会保険料の負担が大きすぎて、個人事業に戻った事業主を多く見てきました。
では、法人化する意味や目的はなんなのかと思われるかと思います。
それは社会的な地位や信用・信頼が欲しい場合です。
この社会的信頼があることによって事業拡大できる取引ができる、優秀な人材を確保できる、事業展開する上での情報が集まりやすくなったりします。
その他には、事業承継、事業売却、M&Aなど会社を子供や従業員に事業承継するときや誰かに売却する時に会社にしていたほうがスムーズに進みます。
事業主が節税目的やあまり目的もないまま、事業規模を大きくするつもりもなく、事業承継させず一代で終わるつもりであれば法人化するメリットがないと思います。
逆に最初にも申し上げたように資金の流出を招いてしまうので、手元資金を減らしてしまう可能性があります。そのため法人化する際はちゃんと目的を持って設立することをお勧めします。