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公開日:2019年10月02日 / 最終更新日:2020年10月28日
著者:根津大介(税理士)
事業承継という言葉は様々なところで見聞きするようになりました。税制が変わり事業を次の世代に渡しやすくなったことで、それにかかわるビジネスが動き始めているところです。
事業承継は代が変わり、新しい活力が会社に注がれる良いきっかけになるという点ではとても良い事だと思います。私見ではありますが、年寄りがいつまでも代表として権力を振りかざすことは経済の活性化の妨げにしかならないので、さっさと次の代に譲るべきだと思っております。
経営者の方は次の担い手を考えると頭を悩ます方が多いと思います。
では、次期社長に望むことは何ですか?さらにその次期社長に何を残しますか?
私のクライアントで以前より後継者で頭を悩ませている社長は「今いる社員の中から選ぶとしてもどの人をとってもいまいち」、「この会社をちゃんと成長軌道に乗せることができるか」、「行動力・実行力にかけるし、人を引っ張て行くような人材がいない」、いっそのこと取引業者にこの会社を買ってもらうかなど、自暴自棄になることも多々ありながらもずうと迷っておりました。
「俺と同じように」などできる訳がありません。育った環境や時代も違いますし、同じような方が社長をやったからといえど、今後成功するかもわかりません。
理屈では社長もわかっていると思います。ただ判断基準がはっきりしていないためにどうどう巡りのように迷ってしまうのだと思います。
そこでふと思い、先ほどの質問を投げかけてみました。
「具体的に次期社長に望むことは何ですか?さらにその次期社長に何を残しますか?」
そうすると、「う~~~ん」と黙ってしまいました。
一番重要な何を引き継ぐのかがはっきりしていないのです。
もちろん会社だろ!と言われる方もいらっしゃると思いますが、ではその会社とは人材?お金(資産)?事業形態?ですか?
人は会社に魅力がなくなればいなくなります。お金は使えばなくなりますし、なくなれば稼げばいい話です。事業形態は時代の変化に対応して変わっていくものです。
では一体何のでしょう?
私は会社に対する思いだと思います。一般的に言われる経営理念です。それは社会的な存在意義であったり、道しるべであったり、行動規範であったり、創業者や歴代社長がこの会社を存続させるために託した意義です。
このような会社の芯となる柱ががはっきりしていればそれを守り続けることができる人に託すだけとなりますので、承継できる人がはっきりしてくると思いますし、受け継ぐ側も何を守っていくべきなのかがはっきりするため行動しやすくなると思います。
先ほどの社長もその点に気づかれたようで「経営理念が大事だよな」と仰っておりました。
経営する時だけではなく、事業を引き継ぐ際にも必要となるのは『何を』託したいのかをはっきりさせることです。意外とこの点をはっきりさせていない方が多いように思います。身内に引き継がせようとされている方は特に重要な事なのでじっくりと話をしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。