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閉店

公開日:2019年07月06日 / 最終更新日:2019年07月06日

著者:根津大介(税理士)

先日、私のクライアントのコンビニ経営者が店を閉めることになりました。

 

オーナーの祖父が個人商店としてそのお店をオープンさせました。その当時は周りにお店もなかったので商売は繁盛したようです。父の代に移りましたが長年その土地に根差し、お客様の要望で品数も増やしていき、地元の方から愛される店舗として父の代までは繁盛していたようです。

 

時代が変わり大型店やコンビニなどもできてくるようになり、オーナーの代に移った時にはかなり経営は悪くなっていたようです。

経営が悪くなって、今後どうしようかと悩んでいるちょうどその時、ある大手コンビニチェーンが東海地区にやってくると世間を騒がせていた時に本部の開発部隊が個人商店をコンビニに変えませんかと提案してきた。

 

コンビニは本部が商品開発、仕入交渉、請求の支払い、資金繰り、店舗の宣伝、店舗運営の指導などあらゆることをサポートしてくれます。その当時明日の支払いにも悩んでいたオーナーにとってはとてもありがたい話でした。時代の流れを感じてオーナーは個人商店を閉めて、コンビニをオープンさせることとなりました。それがちょうど15年前になります。

 

元々地元から愛される店舗として誰もが知っているお店でしたので、最新の商品とサービスを提供しているコンビニとの相乗効果からとても繁盛し、最初はとても儲かりました。

 

繁盛店があればその周りに競合店が出店してくるのは必然で、取り囲むように大手三社が出店してきました。それに伴い売上げもどんどん下がっていきました。ただ、それでも三代にわたる地元の名士なので、それなりの売上はキープしておりましたが、オープンしてから10年を過ぎた辺りからその売り上げのキープもままならなくなってきました。

なぜだと思いますか?

 

 

ドミナント(同店舗の集中出店)?競合店のさらなる出店?人材不足?本部の手腕の衰え?時代の変化?環境の変化?

全て少なからず影響はあると思いますが、決定的な原因ではありません。

 

それは経営者の老いです。

私の今までの経験から経営者が衰えると会社も衰えると思います。これは必然です。

 

10年を過ぎた辺りからオーナーが良く言っていた言葉があります。

「自分の近い世代は知っているから営業をかけれる。その次の世代、さらに下の世代と下に行けば関わりが薄くなり、なかなか顔を見ての商売が成り立たなくなってくる。」

 

 

本部は最新の情報、サービス、商品を提供してくれます。そのためどのオーナーも同世代の人と比べて最新の情報をご存知です。ただ知っているのと理解しお客さんに提供できるのとは別の問題で、いくら本部主催で勉強会を開いて理解しても若い世代の吸収力と理解力には勝てません。

人間、老いてくると気力、体力、集中力そして時代の変化への対応力は落ちてきます。それは経営にも影響し、経営の判断力、対応力、行動力が鈍くなってくるので、会社が時代に乗り遅れてしまいます。

そうならないためには新しい風を送り込む仕組みを作るか経営者を交代するしかないと思います。それができないと閉店・廃業となっていくと思われます。

 

 

起業・出店当初はなかなか閉店する時の事など考えもしないでしょう。出店すときと同様に閉店する際にもお金がかかります。

 

今回のオーナーも看板の撤去費用、商品在庫の処分、書類などのごみの処分費用、リース代の残債などの支払いが保証金を超えての持ち出しがありました。だからといってそのために備えていたことは何もありません。

本部の人間は契約する時に閉店にはお金がかかる事なんて教えてくれません。

 

私も最初からではありませんが、そのオーナーの担当をさせて頂き、もっとこういえば良かった、勧めておけばよかったことが多々あります。だからこそ今経営をされている方やこれから起業される方に伝えておきたいと思っております。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。