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公開日:2019年08月03日 / 最終更新日:2019年08月03日
著者:根津大介(税理士)
税理士なら老後の資金をどう準備するかなんて当然考えていると思われている方が多くいらっしゃいますが、そうでもないですよ。
税理士は税金のプロであって、お金のプロではございません。
老後の事は一生懸命働いて稼げば何とかなると安易に考えておりました。最近までは。
先日、お金の勉強のために香港に行ってまいりました。
香港はシンガポールと一、二を争うアジアにおける金融街として栄えております。金融に携わる世界の企業がひしめいており、世界一賃料が高いオフィス街があります。
その金融街の一角にオフィスを構える証券会社の方の話を聞いてきました。以前より友人から聞かされてはいましたが、日本人は世界の金融業界から疎外されているという事実を再認識しました。
良くも悪くも日本政府は戦後の成長を支えるために、真面目に一生懸命勉強し、働けば将来は安泰だと国民を指導し、規制をかけてきました。そのおかげで一時期は世界第2位の経済大国まで昇りつめました。
ただ、一生懸命働くことを美徳とするためにお金に関することは一切学ばずに大人になります。それどころかお金を増やす事は悪で、投資は怖いし、騙されるという風潮すらあります。そのため日本国民は銀行や郵便局に預けて定期預金(貯金)にしているのが一番だと思っています。香港では考えられないそうです。
日本が高度経済成長時代であればそれでもよかったと思います。ただ、デフレが長らく続き、景気の良さが全く感じられない低成長時代において、自ら考え勉強しなければお金を増やすことはできませんし、将来のために蓄えていくことすらままならないと思われます。
冒頭でも話をしましたが、一生懸命働いて、稼ぎが良ければ、政府が発表した老後の資金二千万円は蓄えられると思われている方が多いと思いますが、日本においては厳しいと思います。稼げばそれなりに消費しますし、日本で普通の生活をしていくだけでも結構なお金を消費していきますのでなかなか貯蓄できないのが実情ではないでしょうか。
それに反して香港の方は普通の収入があれば十分可能だと思われます。
国民がそれだけの金融に対する知識や意識があり、自分の財産を運用して増やす術がたくさんあるからです。
香港で聞いた話は財産を増やす術はたくさんあるが、日本人に案内できる商材は殆どないという事です。それは日本政府の施策でそのような金融商品を金融庁が許可を出さないからだそうです。
その証券会社の方が最近ホームページから日本人の方から金融商品を購入できないかという問い合わせが多く寄せられていると言われておりました。ただ、問い合せを頂いても規制の縛りがあるためお断りするか無視するそうです。
そんな状況から日本では買えない保険や投資案件が買えるルートがあるという詐欺のような案件が多く聞こえてくるそうです。
さらに仰っていたのが、投資に対して無知であるためか金融商品の中身をこの人から案内されたから大丈夫だと、調べたり勉強せずに安易に契約をする方が多いと。
私もそう思います。先ほど申し上げたように日本人はお金に対する勉強をしてこなかったため知識が低い。だからこそ勉強し、知識を増やして、判断する目を養ってほしいと思います。
私の持論ではありますが、「働くことと稼ぐこととは別」だと思っております。豊かな人生、幸せな人生を歩むためには自分の人生をより良くするためのやりたい事、やるべき事、働くことと、生活していくため、家族を養うため、将来に備えるための稼ぐこととは別だと思います。そのため稼ぐという技術も必要だと思います。
安易に投資を勧めているわけではありません。収入のバランスを考えて頂きたいと思っております。自分の仕事から、副業から、預金から、保険から、不動産から、投資からなど収入源の範囲を広げることで、例えば失業したとしても他の収入があれば、食いつなぐことはできたりします。
投資を悪い事、怖いもの、難しいものと捉えずに必要なものとして前向きに考えてみませんか?
最後までお読みいただきありがとうございました。