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公開日:2019年08月30日 / 最終更新日:2019年08月30日
著者:根津大介(税理士)
税理士とお付き合いのある方はそう多くはいらっしゃらないと思います。
親が事業をやっていたという事がない限り、税理士に税務申告を頼もうとはあまり思わない方が多いように思います。
それは起業していこうと思っている方でもそうなんだと思います。
先日も税理士と契約しようかどうしようか迷っている方の相談を乗った時も「このぐらいの規模であれば税理士と契約する必要はないですよね」と言われておりました。
断り文句ではなく、このように仰られる方は実に多いです。
相談を受けた方の殆どの方がこのように言われるのであれば、多くの方にとって税理士へ税務申告を頼むことは敷居が高いようです。
ただ、言われていることはごくごく自然でその通りだと思います。
規模が小さければお金をあまりかけずにご自身でも確定申告はできると思います。(合っているかどうかは別として)規模が小さければ税務署の調査も入る確率も低いと思われます。
ただ、税金を多く支払う可能性は大いにあります。それはやはり税理士は税金の計算のプロですからキッチリと計算させていただきます。だからといって、その税金の減額分が果たして報酬に見合うのかはわかりません。
一昔前の税理士のお仕事といえば税金に関する書類の作成をする事、税金の計算や納税の計画を立てる事、節税対策の相談に乗る事がメインでした。
ただ、昨今の日本の中小企業の9割近くが赤字企業だと言われている中で、税金対策や節税なんて必要性がないのです。さらに赤字企業なんですからお金もないので報酬を無理して支払っている企業も多いです。
私がこの業界に入った時も赤字のクライアントが多く、どうしたら企業が良くなるか、うまく廃業する方法はないかという相談の方が多かったです。中にはお金がないのに無理して報酬を支払っておりましたので、ご自身で申告してみてはと提案したことが何度かありました。
これからの税理士は確定申告書を作成することがメインではなく、多種多様な問題が発生するこの時代に、その問題に応えていくことが主な仕事になっていくと思います。
そのため私は事業をやられる方の家族を含めた人たちの人生設計を一緒に考えていきながら、その方にとって良い選択ができるようにアドバイスしていくことをメインとしております。
先日もあるクライアントからお褒めの言葉を頂きました。「根津さんに提案していただきとても感謝しております。今後の人生への不安が解消されました。」
そのクライアントは私と同世代の方で、大学に行く長女と高校生の長男の二人の子供をお持ちで、事業はお父様の代から受け継いだ事業を行っており、旦那様が社長で奥様が経理をやっている典型的な家業をやられている方です。
奥様は日常生活を送る中で、食材の値段は上がっていないが、年々内容量が減っており、同じ食事を作るにしても1個買えば足りていたものを2個買わざるを得ないこともあり、実質的な値上げが続いていると不安に感じておりました。だからといって家業の収入は増えるどころか、時代の変化とともに減っていく一方だし、政府は老後の資金が2千万円必要だと言われている。
こんな状況であればどんな方でも不安に思わないわけがありません。
この方はたまたま親から相続した資産が多少ありましたので、その資産を使い将来のために備えるプランを提案させて頂きました。
それがあれば盤石なんてことはありませんが、一つの土台ができるので、事業がダメになったとしても冷静に考えられる心のゆとりと時間ができたと思います。
最初の話に戻りますが、どの選択をしたから正解だとか盤石だという事はありません。それは税理士と契約する時もそうです。事業をやる方が税理士をどう使っていくかが重要なのです。
起業された当初はお金も時間もないと思いますので、とにかく安く申告をしてくれる税理士と顧問契約を結べばいいし、事業規模が大きくなってもっと節税のアドバイスを受けたいのであればそれを得意としている税理士と顧問契約を結びなおしてもいいし、節税だけでなく経営の助言が欲しいのであればそれに強い方と顧問契約を結べばよいのです。
つまり事業をやられている方の状況や望んでいることに応じて顧問を変えていっても良いと思います。
逆に、事業規模は小さく税理士と顧問契約を結ぶまででもないような段階でも今後事業を大きくし、もっと稼いでいくためのライフプランやアドバイスが欲しいのであれば、それに強い税理士と最初から契約を結んでもいいと思います。
事業をやられる方がどういう事業計画若しくはライフプランを持っているかが重要だと思います。さらにそのプランに応えてくれないのであれば税理士を変えたほうが良いと思います。
あなたの人生、あなたの事業なんですから、あなたのプランに合わせたプロを選ぶことが成功への近道なのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。