お気軽にご相談ください
052-228-6437
受付:9:00-18:00(定休:土日祝)

経営ブログ

HOME > 経営ブログ

専門家としての態度

公開日:2019年08月10日 / 最終更新日:2019年08月10日

著者:根津大介(税理士)

 

 

先日、歯の定期健診のためいつも通っている歯医者へ行ってきました。いつも通りに「気になるところはございますか?」と聞かれたので、「親知らずが生えてきた」と伝え、「かしこまりました。では歯の検診と掃除を行ってまいりますね。」と言われ、いつも通りの作業が始まった。

 

 

検診の結果、異常な個所は見つかりませんでした。磨き残しなどの指摘を受け、磨き方の指導を受けた後、気になっていた親知らずの話となりました。

親知らずはまだ生えたばかりで、今すぐどうにかしなければならないという事はありませんでした。ただ、生え方が奥に向かっているし、奥なため磨ききれず、虫歯の要因となると指摘を受けました。

 

「どうされますか?」と聞かれました。はぁ⁉どうされますかと聞かれても、状況がいいのか悪いのか、どう対処すればいいのか、今はどういう状況なのか、など写真を見せられるだけでは素人の私では判断できないと思いました。

 

「どうしたらよろしいのですか?」とこちらから尋ねてみました。「私が決めることではないので判断できません」と言われてしまいました。

その通りかもしれないが、素人の私が何の情報も選択肢も与えられずにどう判断しろというのだろうか。

あからさまに何の決断も委ねられたくない、責任を負いたくない、という感じでしたので、この人にこれ以上突っ込んでも仕方ないなと思い、「今回はこのままで」と無難な返事をして帰ってきました。

相談ができないのであれば、今後歯医者を変えようかなと思いました。

 

 

私も専門家である立場で、私の一言がとても影響力を持っていることは重々承知しているため、言葉を発する時は気を付けており、「こうしなければならない」と言うことはしないように努めております。

 

ただ、その代わり、その方が判断できるように選択肢をいくつか用意しております。例えそれが悪い方向に行きそうだったとしてもダメとは頭ごなしに言わずに、それを行った時のメリット、デメリットをお話しします。

それでもその方が判断できないと言われるのであれば、「私ならこうします。」と自分の意見とその理由を申し上げます。さらに付け加えて、「判断されるのはご自身ですから、私の意見に従う必要はありませんよ。ただ、下した判断に対してそれが私の意見と異なっていたとしても、犯罪行為でない限りサポートします。」と付け加えます。

 

 

士業と言われる世界は資格という権限が与えられている分、言ったことに対する責任は重いです。

例えそれが専門外の事だったとしても、その方の影響力からいって間違った判断をしてしまった事はその士業の責任だとして責任を取らされた裁判もあります。

そのため発言には十分に注意している士業の方は多く、冒頭にもあった「判断するのはあなたです」と言われることが多々あります。

 

そりゃあそうなんですが、それって物凄く突き放された感を感じるし、責任を負いたくないという逃げにも感じてしまうため私は嫌なのです。

特に私は『クライアントに寄り添う税理士』を標榜しているため、突き放すような言い方はしないように気を付けております。

 

 

専門家であるからこそ権限を与えられ、『先生』と呼ばれ、発言にも重みがある分、聞く側としては発言に説得力を感じ、素直に受け入れたりします。

そのことを理解しているからこそ不用意な発言はしないように気を付けておりますが、それが行き過ぎて、変な責任を負いたくないといった逃げ腰になってしまうのは専門家としての責務を果たしていないような気がします。

 

 

岐路に立った時、本人が気持ちよく決断できるようにそっと後ろから選択肢や判断材料を提供してくれるのが良い専門家だと私は思います。

 

 

みなさんはどう考えますか?

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。